相続コラム

配偶者の特別受益の持戻し免除の意思表示の推定規定

相続コラム

2019/07/31

 改正相続法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、居住用不動産を生前に遺贈または贈与された場合、その財産は「特別受益」にはなるものの、持ち戻し免除の意思表示があるものと推定されることが明文化されました。

 

 「特別受益」とは、簡単に言うと、遺産の前渡しです。もしも、多額の生前贈与または遺贈を受けた人がいて、その財産については遺産分割の対象としないとすると、他の相続人に比べて不公平になってしまいます。

 したがって、相続が開始して、相続人に「特別受益」があった場合、その遺贈または贈与に相当する金額を足して、実質的な相続財産を算出します(これを「持戻し」といいます。)。

 

 しかし、これまで、例えば高齢のご夫婦間で自宅を贈与または遺贈しても、それが特別受益となって相続財産に持ち戻され、残された配偶者の生活が不安定になってしまうことがありました。

 

 改正相続法により、高齢のご夫婦の一方が残されたとしても、贈与または遺贈により、配偶者にご自宅を残すことができるようになりました。

 

 しかし、あくまでも「推定」するだけなので、共同相続人に推定を覆されると、本制度は適用されませんので、ご注意ください。

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