相続コラム

不便な実家の相続放棄したらどうなる?

相続コラム

2018/05/22

実家の相続をしたくない…
不便な田舎の不動産、実家の土地建物だけでなく、田や畑、山林も一緒に相続対象の場合なおさらだ。
近隣は空き家だらけで田も荒れ果てて雑木が茂っている。
現金預貯金だけ相続して、不動産は放棄したい…が、都合の良い放棄は出来ない。
放棄する際は全てを放棄しなければならないのだ。

全て放棄して安心?

 

しかし、そうは行かないのが民法。
いくら放棄しても管理義務は残る。

 

「民法940条:相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」

 

そして、固定資産税の請求も来ることがある。
固定資産税は1月1日現在の所有者に請求されるため、1月1日現在で所有者が放棄した者であっても、放棄したことが伝わらなければ請求され、請求されたら如何なる理由があろうとも支払う義務がある。

 

「納税通知書が届いた人には納税義務がある(台帳課税主義:地方税法343条2項)」

 

放棄して国に押し付ける事ができるか?
2016年5月23日の松山地裁判例では、相続したくない土地を国に引き取れとと訴えた裁判で、裁判所は財産的価値の乏しい土地の負担ないし責任を国に押し付けるのは権利濫用に当たり許されないとして却下されている。

 

と、まぁ、散々なわけだ。

田舎の不動産を相続する可能性がある方は、今のうちに対策を練っておく事を勧める。

 

ファイナンシャルプランナー  香川文人

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