改正相続法「配偶者居住権(1)」
2019/12/12
改正相続法について、簡単な解説をしてきましたが、今回は一番の目玉といわれている配偶者居住権について書こうと思います。
近年の社会の高齢化の進展や平均寿命の伸長に伴って、被相続人の配偶者が、被相続人の死後も長期間生活しつづけることは少なくありません。配偶者も、住み慣れた居住環境で生活していくこと、生活資金を確保しておくことを希望されます。
しかし、旧法下では、遺産分割で配偶者が自宅の土地建物を取得した場合、
①自宅の評価額が高く、平等に分けようとすると生活資金元の預貯金が取得できない
②生活資金を優先すると、自宅の所有権を子どもが取得することになってしまい、必ずしも自宅の住み続けられるとは限らない(場合によっては賃貸借契約をしなければならない)
などの問題がありました。
こういった残された配偶者の生活の安定のため、居住建物の使用収益権限のみ認め、遺産分割の際に、安い価格で居住権を取得し、預貯金の取得もできるようにすることを目的に設けられたのが「配偶者居住権」です。
これは遺言によっても配偶者に取得させることができます。
なお、配偶者居住権に係る改正相続法の施行期日は、2020年4月1日からです。
ところで、具体的にどのようにして配偶者に配偶者居住権を取得させるのか?財産的にはどのように評価したらいいのか?配偶者居住権をもつ配偶者の義務は?といった疑問もでてきます。これらについては、次回以降で触れたいと思います。
改正相続法シリーズ
「遺留分制度の見直し」
「特別の寄与の制度」
「共同相続人が預貯金の払戻しをした場合の、その後の遺産分割」
「遺言執行者の権限の明確化」
「配偶者居住権(2)」
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