特別受益
2023/03/17
被相続人から相続人へ対する生前贈与や遺贈により
遺産の前渡しとみなされる贈与分を「特別受益」と言い
特別受益を受けた相続人を「特別受益者」と呼びます。
特別受益者とそうでない相続人との間には
自ずと不公平な関係が生じます。
そのため、特別受益者がいる場合の遺産分割においては
「特別受益の持ち戻し」という考え方が採用されます。
例えば、被相続人が父
母は既に他界しており、
相続人は長男と長女の計2名だとしましょう。
長男は数年前にマイホームの頭金として、
父から1000万円の資金援助を受けていました。
父の遺産としては現預貯金のみで金額は3000万円です。
法定相続分は等分なので、長男と長女で1500万円ずつとなりました。
しかし、長女としては自身の取り分に不公平感を感じています。
そこで父の遺産3000万円に
長男のマイホーム頭金1000万円を足し
父の遺産総額を4000万円とみなし
それぞれ2000万円ずつ相続しましょう、というのが
特別受益の持戻しの考え方です。
とはいっても、
既に長男はマイホームの頭金として
1000万円を受け取っているため
相続時の取り分としては長男1000万円、
長女2000万円ということになります。
もっとも、特別受益の持戻しは、遺言で免除することも可能です。
遺言書において、長男の特別受益の持戻しを免除した場合は
父の遺産は3000万円として等分に相続させることができます。
ただし、特別受益の持戻しを免除したことにより
他の相続人の遺留分までもが侵害される場合には
遺言であっても免除できないことがあります。
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