改正相続法「配偶者居住権(2)~配偶者居住権の成立要件~」
2020/01/15
前回「配偶者居住権(1)」では、配偶者居住権の規定が創設された背景や制度のねらいについて書きました。今回は、どのように配偶者居住権を取得するかについて触れたいと思います。
被相続人の配偶者が配偶者居住権を取得するには、次の要件をみたす必要があります(第1028条第1項、第554条)。
①配偶者が相続開始時に被相続人の所有する建物に居住していたこと
②①の建物につき、配偶者に配偶者居住権を取得させるという内容の遺産分割、遺贈または死因贈与がされたこと
まず①ですが、
「配偶者」には、内縁の妻は含まれません。
また、被相続人の所有する建物に居住していたことが求められるので、賃借していた建物も対象にはなりません。なお、共有建物については、配偶者居住権は成立しないとされていますが、被相続人と配偶者2人で共有していた場合は除きます。
さらに「居住していた」といえるには、配偶者がその建物を「生活の本拠」としていたことが要求されます。
たとえば、被相続人の相続開始時に、配偶者が病気で入院したり施設に一時的に入所したりして、自宅建物に居住していない場合はどうなるでしょうか。
この場合、自宅建物を「生活の本拠」としていたといえるかが問題になりますが、一定期間別の場所で入院療養や介護を受け、自宅を不在にしたとしても、いずれ帰ることを予定しているのであれば、実質的にはその建物が生活の本拠といえるでしょう。
少し長くなりましたので、②の説明は次回にしようと思います。
改正相続法シリーズ
「遺留分制度の見直し」
「特別の寄与の制度」
「共同相続人が預貯金の払戻しをした場合の、その後の遺産分割」
「遺言執行者の権限の明確化」
「配偶者居住権(1)」
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