遺言執行者の権利義務
2019/03/30
この度の相続法の改正により、
遺言執行者の権限が明確化されました。
我々のように生前にお客様の遺言を預り、
相続発生時に遺言執行をする者にとって、
とても重要な法改正です。
改正相続法では、
これまで実務上求められていた
遺言執行者による相続人への通知義務が
明文化されました。
逆にいうと、
これまでは遺言執行者が就任しても、
遺言の存在や内容を
一部の相続人へ明らかにせず、
遺言の内容を履行し
任務を終了させることがあり、
問題視されていたということです。
条文で求められる通知の相手は、
相続人(の全員)です。
しかし、遺言の内容が他の相続人に
知られるのを嫌う受遺者は
多くおられますので、
実際、全財産を相続する方が
執行者に指名されている場合、
他の相続人に通知、
内容の明示までするでしょうか。
相続人への通知義務は
遺贈等の履行義務を負う者(遺言執行者)の
存在を伝えるだけでなく、
相続人の遺産の処分等を防ぐためでもあります。
この度の改正相続法の
「遺産分割前の払い戻し制度の創設等」により
預貯金の一部については分割前でも
払い戻しが可能となるため、
他の相続人に遺言の存在、内容を伝えることは
とても重要になります。
さらに遺言執行者の復任権についても
改正がなされ、
原則として遺言執行者の復任権が
認められることになりました。
そして、重要なのは、
遺産分割の方法の指定として
特定の財産を共同相続人の一人または数人に
承継させる旨の遺言があった場合の
遺言執行者の権限が明確になった点です。
このような遺言があった場合、
第三者に対する対抗要件を備えるために
必要な行為(不動産登記など)や、
預金については解約払戻しを、
遺言執行者ができるということが
明確になりました。
※遺言執行者の権限の明確化:2019年7月1日施行
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