家族信託と遺留分
2022/11/11投稿
コラム
以前のコラムでも述べた通り、高齢化の進展とともに、
生前に自分の財産をどのように遺すかを決める需要が高まっています。
生前に自分の財産をどのように遺すか決める方法として、
従来は生前贈与と遺言が一般的な手段でしたが、
最近では、信託契約(家族信託など)の需要も高まってきています。
家族信託のなかで、受益権を取得する人や、
残余財産の帰属権利者を指定しておくことができるのです。
遺言と同じような機能が家族信託にもあり、
通常、委託者や受益者の死亡により受益権が移転するので、
相続財産という認識を持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、正確には信託した財産の受益権や残余財産は相続財産ではありません。
そして、ここでひとつ問題となるのが「遺留分」です。
遺留分とは、相続人が最低限の相続財産を保証されている権利のことをいいます。
信託した財産(信託財産)が相続財産に含まれないのであれば、
そもそも、遺留分問題も考える必要はないという考え方もあります。
生命保険の保険金は「みなし相続財産」と言われています。
「みなし相続財産」とは、相続財産ではないが、
相続税の計算上、相続財産として計算する財産のことです。
生命保険は生命保険会社との、
家族信託は受託者との契約によって財産が移転します。
家族信託の信託財産もこの「みなし相続財産」として
相続税の申告では相続財産として計算します。
そして、生命保険の保険金は原則遺留分侵害の対象にならないとされています。
しかし、家族信託について明確な最高裁の判例があるわけではありませんが、
遺留分侵害額請求の対象になると考えておくべきです。
信託財産にも遺留分侵害額請求が認められる可能性があるので、
家族信託の設計時には注意が必要です。
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