何故空き家が問題なのか
日本各地で空き家が問題となり、政府は平成27年5月26日に空き家対策特措法を施行した。 これにより地方自治体は空き家への立ち入り調査権限を付与され、罰則規定も設けられた。 何故法律を作らなければならないほど問題なのか。
問題となっているのは、大きく4つ
①安全上の問題点 屋根の落下や外壁の崩落、建物の倒壊、火災(放火)
②防犯上の問題 不法侵入、住み着き、オレオレ詐欺などの犯罪舞台、大麻栽培、死体遺棄
③衛生所の問題 ゴミの不法投棄、異臭、害虫や害獣の発生(巣作り)
④景観・風紀上の問題 落書き、治安の悪化、人口減少、地域の地盤沈下、資産価値低下
①番はこれまでにもニュース等でご存知かと思うが、幹線道路や通学路に向かって建物が傾き、倒壊する恐れがある空き家は地方自治体が行政代執行により強制撤去される事例が増えている。また連続放火事件では空き家がターゲットとなっているケースが多い。
②番は今年愛媛県今治市から受刑者が脱走し尾道市向島の空き家へ潜伏していたが、1000件以上の空き家が操作を阻み犯人逮捕まで長期に及んだ。大阪から死体を運んで呉市の空き家へ死体遺棄された事件、山口では覚せい剤の密輸に空き家を悪用していた。さらに、空き家を解体していると、たくさんの預金通帳とクレジットカードが出てきて、その空き家がオレオレ詐欺の舞台となっていたことが判明したこともある。
③番はゴミが溢れている空き家やブロック塀で囲まれていたり草木が伸びているような空き家は不法投棄されやすくなる。近くに山林があると、空き家を使って野生動物が子育てをすることもある。広島市西区では空き家でハクビシンが巣作りをしていた事例もある。
④番は街中の空き家に多いが、落書きや張り紙などをされることも。風紀や景観が悪化すれば治安が悪くなることも。
以上の問題点を隣地に当てはめて考えてみてはいかがだろう。 隣が空き家になった。当初は片付けに来る方もあったようだが、ここ数年誰も寄り付かない。 草や木が伸び放題で、我が家まで越境してきている。冬は沢山の枯れ葉が落ち我家の庭まで入ってくる。 建物の壁はひび割れが目立ち雨漏りもしていそうだ。 庭へ放置されたバケツなどへ水がたまり蚊が湧いてくるのがとても迷惑。 これだけ放置されると、放火されないか不安になる。 連絡先を聞いていないので、市役所へ苦情の電話を入れてみたが改善されない。 もう隣地は嫌悪施設としか呼べない状況に。
このような状況で自宅を売却する場合、購入希望者は現れるのだろうか。 隣が嫌悪施設なのだ。見るからに不安な隣地。 当然、隣地の所有者が現れたら文句の一つも言うでしょう。 逆の立場で考えると、もし相続した不動産が空き家だったら、しっかりと管理をするか売却または賃貸などの活用をしないと、ご近所の嫌われ者になる可能性が高い。 売却する際の境界立会では協力してもらえないかもしれない。 と言うことで、空き家問題は身近な問題と分かっていただけたと思う。
空き家になったら先ずは適切な管理、賃貸等で使用する予定がなければ売却をするのが一番なのだ。
ファイナンシャルプランナー 香川 文人