相談事例(2) 実家売却を検討されているご家庭の家族信託
広島市安佐南区に自宅を所有している方とその長男・二男から、実家売却のための家族信託のご相談がありました。
お客様は女性(以下「Aさん」と記載します。)で、ご主人は数年前に他界され、現在は自宅近くの有料老人ホームに入居していますが、自宅に戻る予定はないそうです。Aさんには、長男と二男の2人の子どもがいます。どちらもご結婚しており、すぐ近くに住んでいてよく一緒にお出かけをされています。
長く安佐南区にお住まいの方は、地元の風景がここ30年くらいかけてガラッと変わり、寂しさを感じることもあるでしょう。
しかし、中心部まで30分以内、近くにスーパーやショッピングモールができて人で賑わい、夜は静かで住みやすい人気のエリアでもあります。
Aさん所有の自宅も人気のエリアで、すぐ近くに新しい大きな道路を建設中、商業施設も増えている場所にありました。
しかし、既に空き家のAさんのご自宅はお庭が大変広く、時々長男や二男が草刈りに来てもすぐに草が生い茂る状態でした。
Aさんは「このまま放置していてもご近所さんに迷惑になるので…」と長男・二男と一緒にご相談に来られました。
子ども達も同じエリアにお住まいで、その「地域の良さ」をしっかり理解し共感されており、すんなりと家族信託契約を締結することができました。
この度の設計は以下の通りです。
委託者兼受益者:Aさん
受託者:長男
二次受託者:二男
信託の終了時期:受益者の死亡
Aさんのご家庭は、家族信託をご利用されることで、Aさんに何かあっても、既に空き家になっている人気エリアの実家を売却できるようになり、大変安心されたご様子でした。家族信託では家族の信頼関係はもちろん、何より大切なのは委託者となるご本人様の「思い」です。
イニシアチブはあくまでも財産を持っていらっしゃる親御さんにあると筆者は思っています。長くその土地に住んでいればなおさら、お金には代えられない土地への愛着や地域の良さ、地域との繋がりがあります。その地域を愛されるAさんは筆者から見てもとても幸せに楽しく過ごされているのだと感じました。
※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため脚色しています。